バレエ組曲「血の婚礼」〜あらすじ〜



【呪われた運命の序曲】

 黒衣の女達は暗い夜の大地に、これから始まる悲しいドラマの幕を開ける。そして、かつて行われたレオナルドの父親とアントニオの父親との殺しあいの過去を見せ、さらに先の運命を予感させるごとく、成人したレオナルドとアントニオを浮かび上がらせる。そして再び黒衣の女達によって、悲しいドラマは始まっていく。

【第一幕】

 恋人同士のイザベルとレオナルドは初々しく遊んでいる。しかし、そこへ登場するアントニオを見て、イザベルの心はアントニオに向いてしまう。
 イザベルは自分の従姉をレオナルドに押し付けて去っていき、そしてレオナルドは運命の糸に惹かれるままに、その従姉と結婚していしまう。
 イザベルとアントニオはお互いに惹かれあい、二人は愛しあう。そして、両家の親の登場により、二人は結婚することになる。
 一方レオナルドは子どもも出来て、平和な家庭生活をおくっていたが、イザベルが結婚することを知り、激しく動揺してしまう。自分の家庭を忘れ、毎夜イザベルの家の前を通 り過ぎては帰ってくる、苦悩するレオナルドの姿…。レオナルドはとうとうイザベルの家のドアを叩いてしまい、イザベルもまた、レオナルドを見た瞬間、かつての恋人を再び愛してしまう。
 そうとは知らないアントニオは、心浮き浮きと、結婚式の為にイザベルの家へと向うのであった。
 それをじっと見つめる黒衣の女達……。


【第二幕】

 イザベルとアントニオの結婚式の当日。
 女中と使用人ペドロは客が来るのを待っている。しかしそこへ、第一の客として登場したのは、招かれざるレオナルドであった。イザベルは驚き、レオナルドは心を押さえることができなくなるが、客達の登場によって、姿を消してしまう。
 そこへ花婿のアントニオが登場し、イザベルと踊りだす。しかし一緒に踊ってはいても、イザベルの心はもう、レオナルドを忘れることは出来ない。 客達の踊りが繰り広げられる中を、イザベルは家の中へ入ってしまう。
 祝宴の踊りが盛り上がっていく間に、今まで姿を消していたレオナルドが、そっとイザベルの前に現れ、どうしようもなくなった二人は、全てを捨てて逃亡してしまう。
 花嫁が男と逃げたことを知り、結婚式はめちゃくちゃ、そして呆然と立ち尽くすアントニオ。
 両家はお互いに対立し、アントニオの母親は息子のアントニオに剣をを渡し、イザベルとレオナルドを探しに出発する。
 黒衣の女達によって最後の悲しい幕が上がると……。
 月の光の中で、イザベルとレオナルドは烈しく悲しく、お互いの愛の行方を確かめるように、美しく踊りつめている。
 いつかは殺される運命の夜。
二人はとうとう追いつめられ、レオナルドとアントニオは決闘することに……。
 一人の女の為に烈しく闘う二人の愛と悲しみ、そして死……。
 最後に、自らの情欲で愛する二人を失ったイザベルの悲しみは、いつ消えるとも知れぬ 激しい余韻を残したまま……幕が下りてゆく。

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