1947年5月3日、日本国憲法は生まれました。
第2次世界大戦の5600万人の犠牲、そして侵略と虐殺の歴史。その反省に立って、私たちは人間の尊厳をかけて宣言しました。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
沖縄戦で奪われた命、軍事基地にまるごと奪われてきた沖縄の過去と現在。在日米軍基地の75パーセントを押しつけられてきた沖縄。その米軍基地は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争のみならず、アフガン戦争、イラク戦争と相次いでアメリカの侵略戦争の前線基地となってきました。そして現在も、辺野古に海上基地を建設し、さらに米軍基地を再編強化しようとしています。
米軍統治下で抑圧されてきた自由と人権。だからこそ、沖縄の私たちは平和憲法を渇望しました。沖縄戦の教訓から「ぬちどぅ宝」のこころと「軍隊は市民を守らない」ことを痛感し、「反戦平和の希求」を語り行動し続けてきました。希望を語り続ける力こそが新しい世界をきりひらきます。希望は、現実を直視し、たじろぐことなく生きる決意のなかからうまれるからです。
今、日本は再び戦時体制に突入していると言えます。米英軍とその有志連合軍は、何の大義もないイラク侵略戦争を強行し、連日罪もないイラク民衆を虐殺しています。そして自衛隊も戦時下のイラクへ派兵されてしまいました。その前後に、二人の日本人外交官が射殺され、五人の民間人が人質として拘束される事件が起きました。こんな時に、自民党憲法調査会は、来年11月に憲法改悪草案を作成するために、「憲法前文」や「九条」の改悪作業を先行させ、自衛隊を「軍隊」と改め「戦力保持」を明記する方針だといわれています。
これは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」した、私たち日本国民の原点に背くものです。
イラクの現実は、武力によって平和や自由をもたらすことができないことを明瞭に示しています。世界中の多くの人々が、武器にたよらず、良心と英知を結集してイラク反戦運動に立ち上がり、真の平和のために連帯の輪を広げています。日本国憲法のこころは、ここに生きているのです。
今日、憲法講演会に参加した私たち一人ひとりが、世界の人々とともに日本国憲法をいかし、未来へ引き継ぐ行動に立ち上がることを、ここに宣言します。
2004年5月3日
2004年憲法講演会
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